アヒルのペットでの飼い方|雛鳥の飼育の仕方・餌の与え方

アヒルの飼い方や飼育前の準備、餌の与え方について紹介します。

 

 

アヒルの飼育前の準備

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①相談に乗ってもらえる獣医は必ず必要

アヒルは足の病気にかかりやすく、鳥インフルエンザ対策も必要です。

しかし家禽は病気になっても処分されるのが普通のため、一般に病気治療のノウハウがありません。

少なくとも鳥の治療経験があり、アヒルを受け入れてくれる獣医を確保しておきましょう。

 

 

②広いアヒル小屋を建てるスペースと、高額の水道代が必要

現在アヒルは開放型の庭での飼育はできませんので、専用の小屋が必要です。

運動量の大きいアヒルが十分に活動でき、十分な広さの池(水槽)も確保できる小屋を作るにはかなりのスペースを要します。

また池は水道水を利用しますので、水道代が結構かかります。それだけの用意ができるでしょうか。

 

 

③近隣から苦情が来ないか

アヒルは羽、糞、油(羽に塗りつけ耐水性を保つ)を広範囲に飛ばして汚します。

また鳴き声もよく響きます。鳥インフルエンザ感染の危険もあります。

アヒル小屋が近隣の家から十分に離れた位置にないと、苦情やトラブルを招きます。その点は大丈夫でしょうか。

 

 

④ マンションのベランダでの飼育は無理

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マンションでは、同じフロアの横並びの部屋がベランダでつながっています。

そしてベランダの隣部屋との仕切りは、簡単なボードだけです。

 

従って、アヒルの鳴き声は筒抜けです。また、羽や糞の汚れや水が、ベランダを超えて、隣のベランダや階下のベランダに入り、近隣トラブルになりがちです。

さらに、ほぼ毎日の小屋掃除には水が必要ですが、ベランダに水道設備はないのが普通です。

 

特に災害時、ベランダは同じフロアの住人の避難路となりますので、避難の妨げになる物は置けません。例えペット可のマンションでも、アヒル小屋の設置はまず許可が下りないでしょう。

だからといって、無許可で隠れて飼うことはやめてください。近隣トラブルになりますし、それは飼い主にもアヒルにも不幸なことです。

 

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アヒルの飼い方

①雛鳥(誕生から生後3週間あたりまで)の飼育

Ⅰ:巣箱

雛鳥は生まれて3週間までは温度調節ができません

そこでこの時期は人家の室内での飼育になります。巣箱には発泡スチロールが保温性が高くお勧めです。

 

多数飼いであれば必要ありませんが、1羽の場合は、暖房用の電球などが必要になります。

また、通常雛は4~5月に入手できますが、もっと寒い時期に購入した場合は、室内の温度も上げてください。

 

巣箱は常に清潔に保ちます。箱の底に裂いた新聞紙などを敷くと、羽や糞の掃除が楽になり、保温や雛の足の保護になります。

掃除は毎日行い、水桶をひっくり返すなど、ぬれたときにはすぐに片付け、乾燥を保ちます。

 

 

Ⅱ:餌

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雛鳥の時期はひよこの餌を使います。これを水やぬるま湯で柔らかくして与えます。

雛は食欲旺盛で、えさ箱に入れれば自分で食べます。間隔は3~4時間おき、胸のそのうが、外から見てもぷっくりと膨らむまで食べさせます。(ここがぺたんこになったら空腹です)

 

なお水は常に飲めるようにしておきます。また、水に溶いた餌は傷みやすいので、食べ残しはすぐに処分しましょう。

成鳥等に与えるボレー粉は、雛の間は少量にとどめます。

 

 

Ⅲ:日光浴

アヒルは、一生に渡り、日光浴が必要です。

しかしこの時期はネコやカラスの害がありますし、鳥インフルエンザ対策から見ても、日当たりの良い窓越しで、日光浴をさせるのが良いでしょう。

 

 

②中雛(生後3週間から8ヶ月あたりまで)の飼育

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Ⅰ:飼育小屋への移動

生後3週間を過ぎ、雛の黄色い産羽が、成鳥の白い羽に抜け替わると、アヒルは温度調整がとれるようになります。

身体は成鳥に近くなり、運動量も増します。この頃を見計らって、アヒルを飼育小屋に移動します。

(小屋の作り方の詳細は、「飼育1 鳥インフルエンザ」の項目を参照)

 

 

〈小屋の作り方〉

ⅰ:土

アヒルは土いじりが好きです。小屋の一部に土場を作るのも良いでしょう。

土は清潔な物を用い、定期的に交換して臭い防止、清潔を保ちます。

 

 

ⅱ:清潔感

小屋は、風通しを良くし、清潔と乾燥に努めます。

 

 

ⅲ:保温

成鳥になるまでは、保温にも注意します。複数飼いであれば、それほど心配はなく、段ボールなどで適当な大きさに仕切った寝床を作ってやれば、そこに集まって互いに保温します。

もし1羽飼いの場合は、保温性のある寝床をつくり、外気温に応じて、小屋の保温をします。

 

 

Ⅱ:餌の与え方

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雛の餌と成鳥用の餌を混ぜて与える時期です。

比率は半々から始め、徐々に成鳥用を増やします。同時に水気を徐々に抜き、最終的には餌と水を完全に分けます。

 

 

<餌の内容>

基本は、カロリー、糖質、脂質、蛋白質少なめ、ビタミン、ミネラルは多めに配合します。

以下、アヒル用の餌の種類と注意点をまとめます。

 

 

ⅰ:『水鳥用ペレット』

理想的な栄養バランスで、これだけで充分と言われますが、価格が高く、流通も限られていて手に入りにくいのが欠点です。

 

 

ⅱ:『配合飼料』

手に入りやすく、価格も安価ですが、栄養面で偏りがあります。他の餌と混ぜて使います。

 

 

ⅲ:『干しエビ、煮干し』

配合飼料に毎回大さじ3杯ほど混ぜます。煮干しはぬるま湯に30分ほど浸け、塩分を抜いてから与えます)但し生魚は中雛では食べられません。

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ⅳ:『野菜』

細かく刻み餌に混ぜてたくさん与えます。但し、

  • タマネギ
  • ネギ
  • ニラ
  • ニンニク
  • ケール
  • アボガド
  • ゴボウ
  • 芽キャベツ
  • 果物の種
  • アクが強いもの(ほうれん草、クレソン、芥子菜など)
  • シュウ酸の多いもの(バナナなど)

 

は与えません。

 

 

ⅴ:『与えてはいけない餌』

加熱した澱粉(ご飯、パン、麺類、菓子、芋類)チョコレート、生の大豆など。

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ⅵ:水分を多く含むもの

水気のある餌はすぐに腐敗します。食べ残しは速やかに片付け、餌は常に新しい物を与えます。

 

 

ⅶ:異物

中雛は口に入る物を何でも食べようとしますから、異物が小屋に入らないよう注意が必要です。

またいくらでも食べますので、量を制限し、太らせないようにします。

 

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③成鳥(生後8ヶ月以上)の飼育

Ⅰ:飼育小屋内の管理

 

ⅰ:基本的に中雛の頃と変わりません。

 

 

ⅱ:アヒルは複数飼いの場合、自然と群れを作ります。一度群れができると、そこに新たなアヒルが入ることは希です。

群れ違いのアヒルを一緒に小屋に入れる場合は、縄張り争いからけんかが起こりますので、小屋内を仕切るなど、工夫が必要になります。

 

 

ⅲ:成鳥で、複数飼いであれば、保温はほぼ必要ありません。

寝床の床面だけ、凍結防止に、乾燥と柔らかい土やおがくず、草、裂いた新聞紙などを敷き詰めればよいでしょう。

 

寒冷地や冷え込みが厳しい季節には、中雛の時のように、寝床に囲いなどを作ってやれば、互いに寄り添って暖を取ります。(小屋の開口部に風よけにビニールなどをつけるのもOKですが、換気には気をつけましょう。)

1羽飼いの場合はやはり保温が必要でしょう。

小屋全体の保温が難しければ、寝床に暖房を入れるなどの工夫が必要です。

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ⅳ:アヒルの雌は産卵しても抱卵しない場合が多く、卵は産みっぱなしになるときも多いです。

雌が産卵期に入ったらまめに小屋をチェックし、生まれた卵はすぐに回収しましょう。

放っておくと、アヒルが割ってしまったり、食べてしまったりすることもありますし、そのまま腐敗してしまうこともあります。

 

 

Ⅱ:餌の種類

中雛で雛の餌から成鳥の餌に移行を完了したら、後はそのままを維持する事を基本とします。

成長期を過ぎたアヒルに必要なことは、ともかく太らせないことです。

成鳥に達して数年のうちには、足の障害が起きてきます。これを防ぐため、重症化させないためには体重を軽くするしかありません。

 

 

ⅰ:配合飼料は「産卵用」「卵をたくさん産む」などの宣伝文句がついているものではなく「愛玩鳥用」を選びます。

 

 

ⅱ:配合飼料に混ぜる野菜や、その他の食品は、一定の物に偏らず、いろいろな物を少しずつ、他品種与えるのが栄養バランスを保つコツです。

米ぬか、鳩麦、キビ、キヌア、アマランサスなどの雑穀を少しずつ混ぜるのも効果的です。

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ⅲ:産卵期の雌、足が弱く障害の傾向が見えるアヒルには、ボレー粉(カキ殻)を少量混ぜます。

ボレー粉はカビが生えやすいため、保存方法には気をつけましょう。購入には着色をしていないものを選びます。

 

 

ⅳ:動物性蛋白は、餌の2~8%(水分13%の時)の量を与えます。

配合飼料に含まれる量を確認し、足りない場合は、煮干し、エビ、ドジョウ、キビナゴ、等を与えます。

 

 

ⅴ:アヒルはカビに弱いため、餌は保存中にかびさせないようにします。また食べ残しは速やかに片付けます。

 

 

ⅵ:アヒルの体重を毎日計り、餌の量を決めるとともに、健康管理(状態の変化)に注意を払います。

 

 

コールダックについて

コールダックはシロアヒルの1/4ほどの大きさのアヒルです。小さいため、ペットとして人気が高く、ペットショップでも高値で取引されています。

しかし、鳥インフルエンザ対策を含めて、生態はアヒルと同じです。さらに小さいため、保温性などは、大きいアヒルより気を遣うことが多くなります。

 

またそもそもカモ猟の際、囮の鳴き声を上げるために品種改良したのがコールダックですから、鳴き声が大きいのが特徴です。その点で近隣トラブルが起こりやすいと言えます。

アヒル飼育の難しさから、小型のコールダックであれば楽に飼えるのではないかと誤解されるかもしれませんが、実情にはさほど差はなく、ペットとしての飼育が難しい事に変わりはありません。