昆虫初心者におすすめの飼いやすい種類について。初めての方にとって飼いやすくてしかも魅力的な昆虫というと数は限定されてきます。それは昆虫の飼育が意外と難しいことも関係しています。
ショップではたくさんの外国産の昆虫が販売されていますが、もし逃がしてしまうと生態系に悪影響を与える可能性が高いので、まずは見送った方がいいと思います。
ということで、国産の昆虫の中から飼育が容易で、間違いなく楽しめる初心者向けの昆虫たちを紹介します。
初心者におすすめの飼いやすい昆虫
ヤマトカブト(国産カブトムシ)
出典:http://fukumitu.sakura.ne.jp
ペットショップでは様々な外国産のカブトムシが並んでいますが、初めに飼うカブトムシならやはり国産のヤマトカブトをおすすめします。
自分でカブトムシの生息場所を探して採集することも出来ますし、出来ない場合でもショップでの流通量が多く値段が手ごろです。
一番簡単なのはカブトムシ用の飼育セットを購入することで、すぐに飼育を始められます。
一般的な飼育セットに入っているのは、飼育ケース、昆虫マット(クヌギなどの朽木を細かく砕いたもの)、エサ皿、昆虫ゼリーです。
自分でひとつずつ揃えてもいいですよ。
難点は、カブトムシが成虫になってからの寿命は1~3か月と短いことです。
オスとメスのペアが手に入れば、繁殖に期待するのも一つの手でしょう。
オス同士は一緒に入れておくと必ず喧嘩になるのでやめておきましょうね。
繁殖を考えるなら、飼育ケースには産卵用に15cmくらいの高さで腐葉土を入れるとよいです。
産卵用の飼育セットも販売されていますので、そちらを購入してもいいですね。
一般の飼育セットと違うところは、昆虫マットのかわりに「幼虫マット」と呼ばれる腐葉土が入っているところです。
餌としては、水分の少ないリンゴやバナナといった果物をあげたり、飼育ケースにハチミツを塗った木片を入れる方法もありますが、手軽さでは昆虫ゼリーが一番です。
カブトムシは幼虫の状態でも多数販売されていますので、羽化を楽しみに幼虫から育てるのもいいですね。
幼虫は腐葉土を食べて育つので、時々霧吹きで水を加えて適度な湿度を保つだけで他の餌は必要ありません。
コクワガタ
出典:コクワガタの仲間(図鑑)
クワガタを飼うなら、まずはコクワガタがおすすめです。
国産クワガタの一番人気はなんといってもオオクワガタなのですが、ほぼ日本全国に広く生息していて採集もしやすくショップでも価格がお手ごろなのはコクワガタです。
またオオクワガタの飼育はオスがメスを食べてしまうケースがあるのですが、コクワガタではこの心配はありません。
逆に産卵前のメスがオスを食べてしまうことはあり得ることなので、産卵前のメスには高タンパクゼリーなどを与えてタンパク質を取らせてあげる必要があります。
オス同士は一緒に飼育できませんのでご注意を。
一般的な飼育セットはカブトムシ用と共通で販売されているので、これを使うことも出来ます。
カブトムシと違う点は、クワガタの産卵には、卵を産むための朽木が必要になることです。
カブトムシは腐葉土に卵を産みますが、クワガタは朽木に穴を開けてその中に産卵するのです。
ちなみに朽木とは、特定のキノコ菌が入ってやわらかくなった木のことで、一般的にはシイタケ栽培で使用した後の木が使われています。
身近にない場合はこちらもショップで購入できます。
また、コクワガタは冬眠して越冬することができます。
寿命は成虫になってから1年かそれ以上だと言われています。
ノコギリクワガタ
出典:Mushi Navi
コクワガタと同じくらいおすすめなのがノコギリクワガタです。
こちらも日本全国に生息しています。
体はコクワガタよりも一回り大きく、オスの立派な大顎にはノコギリのようにギザギザの内歯がついているのが特徴です。
飼育方法はコクワガタと一緒です。
ノコギリクワガタの場合は冬を越せることは非常に稀で、寿命は成体になってから3ケ月~半年です。
クワガタの世界にも相性の良し悪しがあって、相性のいいカップルだと一緒に餌を食べたりと仲睦まじい姿を見せてくれます。
そういうペアに出会えたら産卵も大いに期待出来ますね。
スズムシ
夏から秋にかけて涼やかな音色で耳を楽しませてくれるスズムシ。
飼育も簡単なので気軽に楽しめる昆虫です。
近所で鳴いていたら採集したいところですね。
なかなか捕まえられないようなら、ショップやホームセンターでも入手できますよ。
飼育に用意するものは、飼育ケース、エサ皿、隠れ家(中に入って身を隠せるものならなんでも)、スズムシ用マット。
あとはマットを湿らせるための霧吹きですね。
餌は昆虫ゼリー、野菜(キュウリ、ナスなど)、かつお節で大丈夫です。
昆虫ゼリーだけでも飼育できますが、スズムシは基本的に雑食なのでかつお節などでタンパク質を補ってあげることで共食いを防げます。
成虫になってからの寿命は2ヶ月半~3ヶ月ですが、ペアが出来ればマットの中に卵を産んでいることがあります。
適度な湿気を加えて冷暗所に保管しておけば翌年に孵化します。
まとめ
自分で捕まえるもよし、ショップで買うのもよし。飼育用グッズも揃っていて簡単に飼える昆虫たちをご紹介しました。
飼っていると愛着が湧いてとても可愛くなりますよ。
一つ注意点としては、たとえ国産の昆虫であってもショップで買ったものをむやみに外へ放すのはよくないということです。
同じ昆虫でもそれぞれの地域で独自の形態を持っているので、雑種が誕生することでその土地の昆虫にしかない貴重な特性が破壊されてしまうケースがあるのです。
ご自身で捕まえたものであっても、放す場合は必ず元の場所へ持っていくようにしましょう。
短い命ですので、出来ることなら最後まで飼い主さんの手で可愛がってあげることが一番ですね。