日本の動物の殺処分の方法や詳細、海外との違いを紹介します。
日本の動物の殺処分の方法について
先進国となった日本は、人口の増加とともにペット大国となっています。
犬、猫に留まらず鳥、兎、ハムスターなどの小動物、果ては日本には在来しない魚類やエキゾチックアニマル・・・多岐にわたる国との外交が進むにつれ、様々な動物たちを気軽にペットショップや専門店で気軽に手に入れれるようになり、ブリーダーの需要も増えました。
そしてそれに伴い動物病院を始めとする、美容院や訓練所など動物達の生活を支える専門機関も増えていき、昔と比べ圧倒的にペット達の生活環境は改善され寿命は目まぐるしく伸びています。
しかしその一方で、寿命を全うすることなく消えていく小さな命が、比例するように増えていることをご存じでしょうか。そしてその原因は間違いなく人間にあるのです。
この文章を読んでいる人は、もしかしたらたまたま検索に引っかかっただけの人もいるかもしれません。
しかし少しでもあなたの時間を分けていただけるなら、時間が許すまでの間、ここからのお話を読んで心の片隅にでも置いていただけたら嬉しいです。
今あなたがこの文章を読んでいるこの時にも、人の手によって傷つきながら消えていく小さな命があるのです。
殺処分の詳細
殺処分と聞いて、何を想像しますか?内容は人それぞれだと思いますが、野良猫とか、野良犬とか、飼い主のいない動物達を保健所で処分するんでしょう?
でもガスや注射で眠るように死ねるんじゃないの??大雑把にまとめるとこんな感じではないでしょうか。
保健所、ガス、安楽死。このような言葉が頭に浮かぶと思います。恥ずかしながら私もこの程度の知識しかもっていませんでした。
では実際はどうなのでしょうか。
環境省の発表によると27年度の殺処分数は犬と猫を合わせて約10万匹程となっています。
この数、多いと思われますか?少ないと思われますか?計算では、1日に約300匹近くの処分が行われていることになります。
ではこの沢山のワンコやニャンコ達、どのような方法でその小さな命を奪われているのでしょうか。
上記にある内容は事実とそうかけ離れてはいません。しかしそれは短く簡潔にまとめれば、の話です。
確かに殆どの自治体ではガスによる処分の後、焼却されます。この時に使われるガスは二酸化炭素です。
吸引麻酔ではありません。不安な気持ちで部屋の中に閉じ込められ、何が起きているのかわからない中徐々に酸素は失われていく。
その先に待っているのは窒息死です。小さな体で必死に酸素を吸い込もうとどれだけ頑張っても、2度ときれいな空気を体いっぱいに吸い込み、手足を伸ばして駆け回る事は出来ないのです。
この時間は体の小さな子ほど呼吸量が少なく、長い苦しみとなります。中には意識を失う前に焼却処分となる子もいるそうです。
そしてこの事は何十年も昔の話ではありません。今まさに行われている事です。
獣医による安楽死を行っている自治体もあるようですが、コストがかかるというような問題で、ガスを使う自治体の方が多いのです。
保健所と言うキーワードも、殺処分と聞けば出てくるのではないでしょうか。
しかし殺処分を行っているのは保健所だけでなく、動物愛護センターでも行われています。
愛護センターと聞いて保健所のように殺処分と結びつける方は僅かではないでしょうか。
愛護とつくからきっと保護をして、新しい飼い主さんを探してくれているのではないかと思いがちですよね。
ですが引き取った動物たちへの対応は保健所と変わりません。保護した動物を可愛がってもらえると思い込み愛護センターに連れて行くのは、安易としか言いようがありません。
ここで最も注目すべきは、保健所や愛護センターが悪なのではなく、殺処分にこれらの施設に持ち込まれる動物の殆どは”飼い主により持ち込まれている”と言う事実です。
頼り切っていた飼い主に連れられた先が公園やドッグランなどではなく、知らない所で他の動物と共に閉じ込められながら飼い主の迎えをただ一途に待ち続け、意識が途切れるその瞬間まで飼い主のことを思い続けている動物たちは、間違いなく飼い主のエゴによる被害者なのです。
海外での殺処分
それでは海外ではどうなのでしょうか。そもそもドイツでは殺処分0と言われているのは有名ですね。
本当にあれほどのペット大国が、殺処分0などという事が可能なのでしょうか。その秘密は日本とは違う各国の文化にあります。
まずドイツには殺処分をするという施設がありません。代わりにシェルターと呼ばれる施設があります。
日本では施設へ入ってから3~7日で処分が実行されるのに比べ、シェルターに期限はありません。シェルターの数はとても多く、保護団体の歴史もとても古いものです。
犬の税金・法律
そして大きく違うのは犬税、犬の法律がある、ということです。これは犬の数をコントロールする事に役立ち、犬の数が増えると増税されます。
勿論障害者手帳を持つ人が飼う場合や、盲導犬、救助犬にはかかりません。また檻での飼育を制限するため、檻で飼う場合は5匹増えるたびに金額が上がるシステムになっています。
各自治体で動物の登録もあり、万が一迷子になっても警察署や専門家がネットワークを組み、探してくれます。
犬の法律では細かく項目が定められており、散歩時のリードの長さ、犬の大きさや種類による檻のサイズ、鎖でつなぐ場合の長さ、外気温が21度を超える場合の車中の置き去りなどを厳しく取り締まり、これにより犬を安易に飼うことを防ぎ、その結果殺処分抑制に繫がっています。
この法律はペットショップ等の販売店にも影響し、ペットショップ等の環境では実行するのが難しいためショップ側の自主規制により、ペットショップに犬や猫がいないのが普通になっているのです。
しかしこの一方でドイツの狩猟法では、狩猟動物を保護する目的で野良犬や野良猫の駆除を認めています。
狩猟民族であるドイツの人達からすれば、人の手を離れて自然化にある犬や猫は野生動物を捕食し、生態系に影響を与えるため合法的に駆除する事を認められています。
つまり日本のように殺処分と言う名義になっていないだけで、一口に殺処分は0だと言い切ることは出来ません。
ボランティア活動、あなたに出来ること
先ほど出てきたシェルターなどは、沢山のボランティアにより成り立っています。
このシェルターは野良であったり、劣悪な環境で飼われていたために獣医局が没収した動物達、飼い主たちの勝手な都合により引き取られた動物達が暮らしており、新しい飼い主との出会いを待ちながら、日々の生活をしています。
日本ではどうでしょうか。日本にも保健所などにいるワンちゃん達を引き取り里親さんを探す施設や、上記のシェルターのような施設もあります。
またイベントなどで里親さんを探し、譲渡を行う団体も多く見受けられます。
動物たちを助けると言う意味では、このような里親募集に参加するなどだけではなく、施設やイベントの手伝いや金銭的な寄付など実際に動物達を飼える環境がない人達でも、間接的に係る事で沢山の命を救う事が出来ます。
是非一度検索をしてみて下さい、きっと近くで活動している団体があるのではないかと思います。
そこではきっと、少しでも多くの手が差し伸べられるのを沢山のワンコやニャンコ達、その子達を支えようとしている人達が待っていると思います。
まとめ
今回この記事を書くにあたって色々な資料に目を通しました。
中には具体的な話が載っていたり映像が添付されていて、今まで詳しくは知らなかった事柄を多く知る機会となりました。
しかしそれはあくまで、ごく一部なのではないかと思います。その中でいくつか共通してわかった事は、日本はまだまだペットというジャンルに関しては後進国である、と言う事です。
犬や猫は遠い昔から最も身近にいた生き物です。にもかかわらずペットとしての地位が確立され需要が伸びてきたのは、ここ数十年の話ではないでしょうか。
そんな日本が後進国であるというのはごく当たり前の事と言えます。
だからと言って、当たり前のようにペットを手放すのは人間としてのモラルの問題です。
人としてのモラルに遅いも早いもありません。動物愛護法に定められているのは生き物を飼う人に対する、わざわざ言うまでもないごく当たり前の事です。
しかしそれすら知らないのか、守る気がないのかわからない人が多くいます。
動物を捨ててはいけません。虐待してはいけません。ペットが過ごしやすい環境を用意してあげなければいけません。
飼うときは最後まで責任を持たなくてはなりません。これはどれもそんなに難しい事でしょうか。
ペットショップに行く前に、ショップから一目惚れをして連れて帰る前に、一度考えてみて下さい。
その子は”命”そのものです。お店に陳列されているヌイグルミではありません。通販で手軽に買える珍しいオモチャでもありません。小さな心臓を必死に動かし生きている者なのです。
貴方も家族もその子に対するアレルギーはありませんか?
その子が食べる物にアレルギーはありませんか?ペット不可の所に住む事になる可能性はありませんか?その子に将来介護が必要になったとき、どんなに汚い事でも見捨てずにお世話をする事はできますか?
万が一自分が先に死んでしまったとき、その子が行ける場所は決まっていますか?
もしこの中のどれか一つでも答えに詰まったなら、キチンとすべて確認が取れるまでその子を迎え入れるのは待ってください。
そうして用意が出来たなら、一度里親募集や譲渡会が行われていないか、保健所や愛護センターであなたを待っている子がいないか、確認してみて下さい。
もしそこで出会えた子がいたら、きっとその子はあなたの幸せになってくれます。
ワンコやニャンコを始め、ペットとして飼われる動物達は小さな体でとても大きな幸せを私達に教えてくれます。
その子達の思いを人間が裏切らないような関係が、いつか殺処分0へと繫がっていくと思います。日本はとても豊かな国です。人間の意識一つで、殺処分0は遠い話ではありません。