オオハシのペットとしての飼い方、鳴き声、性格、餌、温度、飛び方、寿命について。
大きくカラフルでまるで作り物のような嘴が特徴的な鳥、オオハシ。動物園で目にすることが多いですが、種類によってはペットとして飼うこともできます。しかし飼育者も販売店も非常に少なく、ペットとしての飼育方法の情報も少ないのが現状です。
野生では50年程生きると言われていますが、飼育下では15年、長くても20年しか生きることができません。その位、正しい飼い方が確立されていないのです。
ペットとしてのオオハシの飼い方
飼育スペース
オオハシはとても活動的で、広いスペースで動き回る生き物です。飼育にはかなりの広いスペースが必要です。カゴの大きさは、小型種でも大型インコ・オウム用のものでも狭いくらいです。
また樹上生活をしている生き物で、一生のうちほとんど地面に下りないと言われています。その為飼育下でも高い所で過ごすことが多く、カゴには高さも必要です。
最低150㎝はないと、骨折の危険があります。広さも高さも十分にあるカゴで飼育してください。自作することも考える必要があります。
カゴの中だけでは当然運動不足になりストレスが溜まってしまいます。毎日カゴから出してなるべく広い部屋で運動させてあげてください。
放鳥時も上下運動が出来るよう、部屋の壁などに止まり木を設置したり、木のタワーを用意すると良いでしょう。これらも自作を考えた方が良いです。
寂しがりやな性格なので、飼い主のことが見える場所にカゴを置いてあげましょう。
広いスペースが必要なので、アパートで飼うのはよほど広い部屋でない限り不可能に近いです。広めの一軒家で飼うのが理想です。
室内温度
オオハシは種類のもよりますが一年中28度ほどの地域に生息しています。冬はもちろん24時間暖房が必須です。夏も日本の真夏では暑すぎるので多少の冷房は必要です。
一年を通して同じ温度を保つ必要があります。ほぼ一年間エアコンが必要になることは覚悟しておいて下さい。
オオハシの鳴き声
種類にもよりますが、鳴き声がかなり大きいです。800m離れた場所にも聞こえると言われています。
野生ではジャングルで遠くに聞こえるように鳴くのですから、どの位響く声か想像できるでしょう。
鳴き方は種類により異なりますが、蛙のような鳴き声や、「キューン」や「コーン」と言った鳴き方をします。鳴く頻度は多くなく、何かを要求したり感情を伝えるために単発で鳴きます。
インコなどのように鳴き続けるわけではありませんのでその点は救いです。鳴き声の点からもやはりアパートではなく広い一軒家で飼育するべきです。
オオハシの独特の飛び方
オオハシの飛び方は直線的です。他の多くの鳥類のように羽ばたきながら旋回する飛び方は、オオハシは非常に苦手です。木から木へまっすぐ飛んで移動します。
翼を使って羽ばたくことは少なく、飛ぶというよりはジャンプして飛び移ることの方が多いです。移動のスピードはかなり高速です。
カゴ内にはオオハシが飛び移れるよう、多くの止まり木が必要になります。移動の邪魔にならず、なおかつ移動しやすいように設置してあげましょう。
放鳥中も注意が必要です。飛びながら旋回できないので、壁や窓に衝突して死亡してしまう事故が起こりやすいのです。特に窓ガラスはあることに気付かず、思い切り衝突してしまうことが多いので必ずカーテンを閉めてから放鳥してください。
オオハシの餌・食事
主食
野生では主に果物、昆虫、小型の爬虫類を食べて暮らしています。鳥の卵や小鳥を食べることもあります。小型の鳥や爬虫類を飼っている方は、絶対にオオハシに近づけないでください。食べられてしまいます。
飼育下ではオオハシ用のフードと果物を与えます。どちらも欠かせません。オオハシは体内に鉄分を蓄積しやすい性質を持っている為、必ず専用のフードを与えてください。
他の鳥類のものだと鉄分の摂りすぎになります。果物は、南国に生息している鳥なので当然南国のものを好みます。
ベリー類、パパイヤ、マンゴー、パッションフルーツ、バナナが最適です。柑橘類は鉄分が多いので与えないほうが良いでしょう。
このような高価な果物を一年中与えないといけないので、食費はかなりかかります。野生では大きな嘴で器用に皮を剥き、小さく砕いて食べている様ですが、喉に詰まらせる危険があるので飼育下では食べやすい大きさに切ってから与えた方が安心です。
果物は消化吸収スピードが速く、食べたものが糞として出てくるまでに2~3分しかかからないようです。その為常に食べられるようにしておく必要があります。
動物性たんぱく質
飼育下で動物性たんぱく質を与えることには賛否があります。昆虫や小型爬虫類、小鳥など肉には鉄分も多く含まれている為です。
野生のオオハシはグァバや未熟なバナナなど、鉄分の吸収を抑えるタンニンが豊富に含まれている食物を食べているので、肉を食べても大丈夫だと考えられます。
飼育下でグァバや未熟なバナナを常に食べさせるのは困難ですので、動物性のものは与えないほうが良いという考えがあります。
しかし昔からオオハシを飼育している動物園等の施設ではドッグフードやゆで卵等で動物性たんぱく質を摂らせていますので、必ずしも動物性たんぱく質が悪いとは言えません。
動物性たんぱく質を与えるか与えないかは、飼い主の考え方次第になります。
オオハシの性格
甘えん坊で遊び好き
オオハシはペットとして改良された鳥ではないので懐きにくいと思われがちですが、実はしっかり飼い主に懐いてくれます。よく懐いた子は構って欲しくて寄ってきたり、頭を下げてなでなでを要求してきたりします。
賢いので飼い主のことをしっかり認識してくれます。寂しがりやでもあるので、スキンシップを求められたらしっかり構ってあげてください。
野生のオオハシは仲間同士で嘴を使って押し合う相撲の様な遊びや、木の実を使ってキャッチボールの様な遊びをしています。
飼育下でも飼い主と一緒にボール遊びなどのゲームができますので是非教えてあげてください。
臆病
オオハシは心臓発作を起こしやすいと言われています。驚かせてり、無理に掴んだりすると、それだけで心停止してしまうこともあります。
驚かせたりストレスを与えないよう、優しく見守ってあげてください。馴れるまでは無理なスキンシップは禁物です。
オオハシの大きな嘴の役割ははっきりわかっていないようですが、野生で嘴を武器として使うことはなく、威嚇のために使っています。
そして敵わない相手とわかるとすぐに逃げます。大きな嘴で一見強そうですが、実は臆病な性格なのです。飼育下でもオオハシが嘴で攻撃してくることはないので安心してください。
ただし、エサを食べるなどで嘴を振った時にぶつかるとかなり痛いようなので気を付けてください。オオハシに悪気は一切ありませんので決して叱らないで下さいね。
いかがでしたでしょうか?正しい飼い方は確立されていませんが、広いスペースが必要で、温度、食事の管理が大変だということは確実です。
よく考え勉強した上でオオハシを飼ってみたいと思う方は、飼育下最高齢を目指して大切に飼育してくださいね。