アヒルの鳥インフルエンザ対策!飼育で注意する6つのこと

2004年に、WHOは『鳥インフルエンザ流行国に対する公衆衛生上の勧告』として「アヒルはペットとして飼われるべきではなく、また家の中に入れるべきではない」としました。

鳥インフルエンザの感染拡大にアヒルが関与している疑いは現在も続いており、アヒル飼育にはその対策が必須となっています。そこで、鳥インフルエンザ対策を踏まえたアヒルの飼育環境についてまとめます。

 

 

鳥インフルエンザとは?

鳥インフルエンザは、もとは野鳥(水鳥)が体内によく持っているウイルスで、野鳥(水鳥)は、このウイルスと共存するため、感染しても症状が出ません。

問題は、野鳥から、ニワトリなどの家禽に感染し、さらにそこから人、哺乳動物(家畜)や人などに感染していった場合です。

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まず家禽(ニワトリなど)は感染すると、一緒に飼育されるニワトリ同士で感染が広がります。

ウイルスには、感染を繰り返すうちに変異するという性質があり、これによって、感染を繰り返したウイルスが、高病原性に変異する恐れがあります。

 

ウイルスの変異は、ニワトリ同士だけでなく、ニワトリから哺乳類へ、ニワトリから人への感染でも起こる可能性があります。

その結果高病原性のウイルスが登場し、人から人へと高い感染力を持ち、パンデミックを起こす可能性が出るわけです。

 

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鳥インフルエンザとアヒルの関係

では、鳥インフルエンザとアヒルの関係はどうでしょうか。

アヒルは家禽の一種ですが、水鳥であるため、鳥インフルエンザが感染しても症状が出ません。

 

しかし無症状のアヒルでも、放出するウイルスは、ウイルスに感染して重篤な症状になったニワトリが放出するウイルスに匹敵します。

アヒルがウイルスに感染すると、無症状であることから、感染を気づかれず、隔離されずに過ごしてしまう可能性があります。

その結果、ウイルス感染を広げたり、一緒に住んでいる他の家畜(豚などの哺乳類を含む)や人に感染を広げ、それによってウイルスが高病原性に変異する可能性があります。

 

 

アヒル飼育で鳥インフルエンザ対策

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①インフルエンザウイルスを持たないアヒルを購入

アヒルはウイルスに感染しても無症状です。

従って成鳥に達したアヒルでは感染しているかどうか確かめようがありません。

 

そこで、アヒル飼育する際には、まず感染の可能性が低い雛を購入することがお勧めです。

生後(孵化後)3週間までの雛は体温調節がうまくいかないため、屋内で飼育されている可能性が高いです。

 

野鳥などウイルスを持った生物からも隔離されている可能性が高いので、その時期の雛を購入します。

一方、飼育放棄された成鳥などを引き取る取り組みなどもありますが、飼育放棄された時期に、池などで野鳥と接している可能性があれば、ウイルスに感染を疑わなければなりませんので、成鳥の購入はあまりお勧めできません。

なお、卵を購入して自分で孵化させることがウイルス対策としては一番良いのですが、孵化事態がかなり難しいため、こちらもお勧めはできません。

 

 

②人の家の中での飼育は危険

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もし、アヒルが運悪く鳥インフルエンザウイルスに感染していた場合、その糞や羽を大量に吸い込むことで、人もウイルス感染を起こします。

また鳥インフルエンザ以外にも、アヒルは人に有害な菌を持っています。そのため、アヒルを人の家の中で飼うことはWHOも否定しています。

 

 

③野鳥から隔離して飼育なら小屋を建てる

広い屋外での飼育は、アヒルにとっても良いことですが、野鳥からの隔離は難しくなります。

アヒルの餌、飲み水、泳ぐ池(水槽)に野鳥が触れることを避けること、庭木の果実を野鳥が食べ残すなどして落としたとき、それをアヒルが食べないようにすること、野鳥の羽、糞や、持ち込んだ物に、アヒルが触れないようにするなどを、庭での放し飼いで、これらのことをすべて監視するのはとても大変です。

そこで、推奨されるのは小屋を建て、その中で飼育することです。以下、小屋での飼育について、注意点をまとめます。

 

 

Ⅰ:小屋は、野鳥が入らないように、屋根を付け、2㎝角以下の網目の金網か、防鳥ネットで覆います。

 

 

Ⅱ:小屋は、最低でも2羽のアヒルに1坪の広さが必要です。しかしできればもっと広い方がいいでしょう。

アヒルは意外と運動量が多い鳥です。

 

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Ⅲ:池(水槽)は必ず必要です。アヒルは足に持病を抱えやすく、その予防と治療には、泳がせることが必要だからです。

また、足の負担を避けるために、小屋の床はコンクリートなど堅い素材は避け、掃除しやすく、柔らかい素材(土、草、人工芝など)を選びます

 

 

Ⅳ:アヒルには日光浴も必要です。そのため、小屋内には十分に日差しが入るようにします。

加えて、夏場の熱中症対策に、日陰の場所も作ります。

 

 

Ⅴ:アヒルの飲み水は新鮮な水道水を使います。雨水、井戸水、山水、川水は野鳥が接触している可能性があるため、使わないでください。

 

 

Ⅵ:ウイルスは野鳥のみならず、野生動物(含むネズミなど小動物)、害虫(ハエ、ゴキブリなど)に付着して入るときもあります。

そこで、アヒル小屋に、野生動物と害虫が入らないように気をつけることと、害虫駆除が必要になります。

なお害虫駆除に薬剤を使う場合は、アヒルが触れないように気を配ります。

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Ⅶ:世話をする人間もウイルスを持ち込む可能性があります。

そのため世話をする際には清潔な服を着て、出入り口には踏み込み消毒槽を置き、出入りに際し、必ず履き物を消毒します。

消毒には、逆性石けん、塩素系消毒薬、オルソ剤、消石灰等を使いますが、台所や洗濯用の塩素系漂白剤を50倍から100倍程度に薄めても代用できます。

 

 

Ⅷ:アヒルの羽、粉末状になった糞などを大量に体内に取り込むと、ウイルス感染の危険があります。

世話をする人は、長袖、長ズボンの作業着、長靴、さらにマスク、ゴーグルを着用します。

作業後は手洗い、うがいを徹底し、作業着を家の中に持ち込むことで、羽や糞を家の中で飛散しないように気をつけます。また作業着の洗濯は他の物とは別にします。

 

 

④肉や卵は加熱すれば食べても大丈夫

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鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥の肉と卵は、十分に加熱すれば食べても感染の危険はありません。

食中毒の予防も鑑み、鶏肉や卵は、中心部が70℃を超えるまで加熱します。

 

 

⑤アヒルが死んだときには、獣医に相談します。

日頃からアヒルの飼育には獣医との連携が不可欠ですが、死んだときにも相談をしましょう。

アヒルの死亡原因は鳥インフルエンザとは限りませんが(多くの場合他の原因です)万一鳥インフルエンザが原因である場合は、保健所への連絡などが必要になります。判断は獣医に相談しましょう。

 

 

⑥死んだアヒルの扱いは慎重に

もし死亡原因が鳥インフルエンザであれば、その後の処置は獣医や保健所の指示に従います。

それ以外の原因であっても、死んだアヒルの身体には有害な菌やウイルスが存在しますので、その扱いには注意が必要です。

 

庭に埋めてお墓を作るという人もいると思いますが、アヒルは大きな鳥であり、一般家庭の庭の広さぐらいでは、土に埋めたことによる、菌やウイルスの浄化は難しいでしょう。

結果として環境を害することになります。ましてや公園など、家以外の場所に埋めてしまうなどは決してやってはいけません。また、勝手に火葬することも危険です。

 

現在では、ペットを扱ってくれる墓地などの施設がありますから、そうしたところで火葬にしてもらい、供養してもらう事が良いでしょう。(個別にお墓を作ってくれるところもあります)

ペットは最後まで面倒を見るだけでなく、死んだ後の始末もするのが飼い主の義務です。



2 件のコメント

  • ここに示されたアヒルの飼い方は正しいと思う。でも現実にこれができる人がどれだけいる?この飼い方は、アヒルとペットとして扱うことを否定している。そもそもWHOはアヒルをペットとして飼うことをやめてほしいと警告している。
    本当は「アヒルをペットとして飼うことは即刻やめるべき」というのが正しい。

  • WHOはすでに警告している。
    本当は「アヒルをペットとして飼うことは即刻やめるべき」というのが正しい。

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