犬の骨折の症状、対処法、原因、予防、腫れ、痛み、熱、落下、飛び降り、病院、病気、関節症などについて。
骨折は激しい痛みを伴い、治療に時間も費用もかかるワンちゃんにとっても飼い主さんにとってもすごく負担の大きい怪我・病気です。注意して生活していれば防ぐことができます。
犬の骨折の症状
症状は腫れ・熱・痛み
骨折した箇所の周りが腫れ、熱をもち、激しい痛みを伴います。いつもは触らせてくれる場所でも痛がって触らせてくれなくなります。
抱っこも嫌がります。痛みから気が荒くなり、無理に触ろうとすると普段からは想像がつかないくらい凶暴的になったりします。
前足の骨折が一番多く、足を地面に着けることができず、足をあげて歩いたり引きずって歩きます。
背骨の骨折の場合、脊髄に損傷があると足の麻痺などの神経症状が伴うことがあります。排尿、排便が困難になることもあります。
大腿骨の場合は大量出血が伴います。このように骨折した部位により症状は様々です。
起こりやすい合併症
骨折により神経や血管が損傷したり、筋肉の血行障害が起こると筋組織が強く損傷し、筋肉の伸縮性が失われ、やがて壊死することがあります。
血行障害により骨折端が壊死して骨がくっつけなくなり、治りが非常に遅くなることもあります。
犬の骨折の原因と予防法
落下・交通事故
交通事故、高い所から落下した、他の動物に咬まれたなど、体の外側から異常な力が加わることで起こる場合が多いです。
特に交通事故による骨折がほとんどです。車との接触だけでなく、自転車、バイク、歩行者との接触も骨折の原因になります。
お散歩中はリードを短く持ち、飼い主さんの近くを離れないように歩くしつけをすることでほとんどの場合防ぐことができます。
飛び降りたりの事故
小型犬や仔犬、高齢犬などの骨が弱い子の場合、ソファや椅子など少し高いところから飛び降りただけで骨折してしまう場合があります。
高いところに上がらないようにしつける、万が一飛び降りても事故に繋がらないように衝撃を吸収してくれるようなマットを敷くなど、しつけや対策で防ぐことができます。
飼い主さんの不注意
ワンちゃんがいるのに気がつかずに戸を閉めてしまい足を戸に挟んだ、ワンちゃんを踏んだり蹴ったりしてしまった、抱っこしていて落としてしまったなど、飼い主さんが原因で起こる事故も残念ながら多いようです。
急な動作をしない、ワンちゃんがどこにいるのか常に意識して生活するようにしましょう。
小さなお子様がいる場合、お子様にもワンちゃんの居場所がわかるよう、首輪に鈴をつけるのも一つの方法です。
栄養の偏り
不適切な食事によりカルシウム、ビタミンDの不足やカルシウムとリンのバランスが崩れることにより骨が軟化して非常に骨折しやすくなります。
事故防止と同時に、適切な食事で骨を強くする必要もあります。日光浴することでビタミンDが合成されますので、適度な日光浴も大切です。
ドッグフードは色々あってどれにすれば良いかわかりませんし、今使っているもので大丈夫なのか不安ではないでしょうか。
そのような方は「売れているドッグフード・値段の違いについて」を読んで今一度考えてみましょう。
病的骨折
骨の腫瘍などで骨の組織が傷つけられ、骨がもろくなって骨折が生じることもあります。
疲労骨折
小さな力が同じ場所に連続して加わり続けることで骨折が生じることも稀にあります。
フローリングは犬の足に負担がかかりやすくなっています。ただ、負担がかかりづらいフローリングも存在するようです。
犬が骨折した場合の対処法
骨折箇所を固定する
骨折した骨が動かないよう、木の板やダンボール、新聞紙を束ねたもの等を添えてガーゼなどの布を巻いて固定します。
強く巻きすぎるとワンちゃんが痛がりますし、血流が止まってしまいますので注意してください。
しかしワンちゃんが興奮していたり、痛がってやらせてくれない場合には行わないでください。
無理に行おうとすると、ワンちゃんが骨折箇所を動かし痛みも炎症も悪化させてしまうので、可能な場合のみ行ってください。
動かさず安静に
骨折箇所の固定ができない場合は、ワンちゃんが動き回らないようにタオルなどで包んだりケージやキャリーに入れて安静にしましょう。
動かさないことが一番です。
落ち着いて動物病院へ
飼い主さんが慌てたり怖がっていると、それがワンちゃんにも伝わってしまいます。
まずは飼い主さんが落ち着き、ワンちゃんにも優しく声をかけて落ち着かせてあげ、必ずすぐに動物病院へ連れて行ってください。骨折の治療は最初が肝心です。
最初に適切な治療を受けないと、治りが遅くなったり、骨が変に曲がった状態でくっついてしまったり、しっかりくっつくことができず一度治っても同じ箇所がまた骨折しやすくなったりします。
犬の骨折に似た症状の病気
脱臼
交通事故、高所からの転落などの激しい衝撃によって起こります。
脱臼した箇所を痛がり、関節が腫れてきます。足の脱臼の場合、足を着くことができずにあげて歩きます。骨折との見分けは素人には困難の場合が多いです。
変形性関節症
関節軟骨の変性により起こります。加齢によるものと、関節や関節軟骨への負担によって起こる場合があります。
どちらも症状は同じで、足をあげて歩く、階段の昇り降りを嫌がる、関節が腫れる、可動範囲が狭くなります。
レッグ・ペルテス(大腿骨骨頭の虚血性壊死)
足とお尻の筋肉が萎縮することによって大腿骨の骨頭が変形、萎縮します。痛みを伴い、足をあげて歩きます。
原因は不明ですが、大腿骨の頭部の血管が損傷を受け、壊死する病気です。
骨肉腫
足に発生しやすく、腫瘍が発生した足が腫れる、痛みを伴う、足をあげて歩くようになります。進行すると、病的骨折を引き起こします。
大型犬に発生しやすく、骨への慢性的な刺激が関係していると考えられますが、はっきりした原因はわかっていません。
椎間板ヘルニア
神経麻痺により足を引きずり、重症化すると自力では立ち上がれなくなります。
排尿、排便が困難になる場合もあります。腰から背中を痛がり、触られるのを嫌がります。激しい運動や肥満、骨の老化で起こります。
骨折のように足を引きずる病気はたくさんありますが、何かの衝撃の後に起こるのが骨折の特徴ですので、比較的すぐに気づくことができます。
しかし飼い主さんが見ていないときに起こることも十分考えられます。
ワンちゃんの様子がいつもと違い、痛がっている様子がみられたら、心当たりがなくてもすぐに病院に連れて行ってくださいね。