犬猫の避妊・去勢手術の違いと費用|メリット・デメリット

犬や猫を飼っている方、飼おうと思っている方は避妊・去勢手術について考えたことがある方が多いのではないでしょうか?

手術と聞くとすごく怖くなってしまいますが、避妊・去勢手術には良い点がたくさんあります。

しかしいい事ばかりではありません。多少のリスクも伴います。手術するかどうかの最終的な判断は飼い主さんに任されます。今回は避妊・去勢手術について、手術のメリット、デメリットをお伝えします。

 

 

避妊・去勢手術とは?

違いはあるの?

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避妊手術とは、メスの卵巣と子宮を取り除き、生殖能力をなくす手術です。

去勢手術とは、オスの精巣を取り除き、生殖能力をなくす手術です。

 

野生では子孫を残すことはとても重要なことですが、人間と暮らす上では、ブリーディングに使われる子以外には生殖能力は必要ありません。

しかし繁殖しようという本能は残っているので、望まれずに産まれてくる子が後を絶たず、殺処分されてしまうのです。

そのような可哀想な子を減らすため、飼い犬、飼い猫に避妊・去勢手術をすることは大切なのです。

特に猫の場合、簡単に妊娠しますし飼い猫と野良猫の間で繁殖する可能性が高いことから、避妊・去勢手術は必ず行うべきと考える専門家が多いです。

 

人間の都合で生殖能力を奪うことは可哀想だと思う方も多いと思いますが、望まれずに産まれてきて殺処分される方がもっと可哀想だとも言えます。

また、繁殖したいのにできない、相手がいないと犬や猫には大きなストレスになってしまいます。

 

さまざまな生殖器系の病気の原因にもなります。さらに発情から来る問題行動が飼い主さんを悩ませることも多くあります。

犬や猫と家族として暮らして行くためには、適切な不妊手術が必要と言えます。

 

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手術を行う時期

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犬猫共に、初めての発情期を迎える前の生後半年くらいで手術を行うのが最も良いとされています。

オスの場合発情期を迎えてから去勢手術をしても、発情による問題行動が癖になってしまうことがあり、手術をしても癖が抜けないことがあるからです。

 

癖がつく前に手術を行うことで、問題行動を減らすことができます。

メスの場合、発情期を迎える前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生確率を大幅に下げることができます。

 

その子により成長スピードが異なるため、生後半年と言うのはあくまでも目安です。

特にメスは性成熟の時期に個体差が大きく、早い子だと生後3ヶ月で発情期を迎えてしまう場合もあります。なるべく早いうちから獣医さんに相談し、指示に従ってください。

 

大人になる前に手術をしても大丈夫なのかと心配になる方も多いと思います。

しかし、さまざまな研究の結果、生後半年程で避妊・去勢手術を行ったことで発育に問題が出ることはないとされています。

 

しかし3ヶ月で発情期を迎えた場合など、早すぎる手術については獣医さんの判断に任せた方が良いでしょう。

大人になってからの手術も可能です。しかし高齢になってからだと手術と麻酔によるリスクが高まります。

 

なるべく若いうちに行うようにしましょう。高齢になってから行う場合、若い頃よりもより精密な術前検査が必要になります。

検査の結果手術するリスクが高いと判断された場合は、できない場合、延期になる場合もあります。

 

 

手術費用

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避妊・去勢手術にかかる費用ははっきりと決まっておらず、病院、自治体により大きく異なります。犬であれば大きさでも値段はかなり変わってきます。

目安として、小型犬、猫の場合、去勢で1〜3万円避妊で2〜4万円ほどです。

 

同じ大きさでも、犬よりも猫の方が安価な場合が多いです。犬猫共に去勢は日帰り避妊は一泊の入院が一般的です。

どのような麻酔を使うかでも値段が大きく異なります。より安全な麻酔を使用する病院では当然高くなります。

 

術前に行う身体検査の項目でも値段は変わります。より詳しい検査をしてくれるところは高額になります。

安さだけで選ぶとリスクが高い可能性もあるので注意してください。

 

しかし高ければ必ずしも安心というわけではないので、信頼できる獣医さんで、何にいくらかかるのか明確に説明してくれる病院で行うようにしましょう。

また提示している料金に別途、

  • 術前検査代
  • 麻酔代
  • 入院費
  • 術後の痛み止め内服薬代

等がかかる場合と、それら全てを合わせた総額で提示している場合など病院によりさまざまです。

 

自分の子の場合総額でいくらかかるのか、しっかり確認しておくべきです。

自治体によっては手術代金の一部を補助してくれる場合もありますので、一度お住いの自治体のホームページ等を確認してみると良いでしょう。

 

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避妊・去勢手術のメリット

マーキング予防(オス)

オス犬があちこちにおしっこの匂いをつけるマーキング、オス猫があちこちにおしっこを吹き付けるスプレー行為をしなくなります。

しかし犬の場合、癖になってからの去勢手術では治らない場合もあります。マーキングをし始める前かし始めたらすぐに手術をしましょう。

オス猫のスプレー行為は、去勢すると治る場合が多いです。

 

 

縄張り意識が減る(主にオス)

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縄張り意識が減少し、他の犬や猫と喧嘩しにくくなります。攻撃的な面が減り、性格が穏やかになるとも言われています。

人間に対しても、よく甘えるようになると言われています。

 

特に猫は単独行動をし、メスを巡って他のオスと喧嘩をする生き物なので、オス猫同士は喧嘩になりやすいです。

しかしお互いに去勢手術を行ったオス同士であれば、メス同士の場合と同じくらい仲良く暮らせる可能性が高くなります。

 

 

マウンティング予防(主にオス犬)

去勢していない性成熟したオス犬は、人間の脚などに向かって腰を振るマウンティングという交尾のような行動をとることがあります。

癖がつく前に手術することで、マウンティングの予防ができます。

 

初めは交尾の真似事で行っていたとしても、飼い主さんが過剰な反応を見せることで、遊びのつもりで行うようになり、それが癖になることもあります。

癖になってしまってからだと手術してもやめない場合が多く、その場合はしつけでやめさせるしかありませんがかなりの根気と時間が必要です。

マウンティングを行うのは主にオスですが、稀にメスでも行う子がいます。

 

 

脱走・感染症予防(オス猫)

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去勢していない性成熟したオス猫は、交尾相手を求めて家の外に飛び出して行ってしまうことがすごく多いです。

そのまま迷子になってしまったり交通事故に遭ってしまう可能性が高くなります。

 

運良く帰ってきたとしても、ほぼ間違いなく他の猫を妊娠させてしまっています。望まれずに産まれてくる可哀想な子を増やしてしまいます。

また室外に出ると言うことは、交尾や他の猫との喧嘩や接触で、感染症にかかる可能性が非常に高くなります。

 

完全室内飼いの猫であれば去勢手術を行うことで外への飛び出しは高確率で防ぐことができます。

大人になってから手術を行ったとしても高い効果があるようです。

 

 

発情出血(ヒート)がなくなる(メス犬)

発情したメス犬は、生殖器から出血します。出血量は多くはないですが、家の中が汚れたり、衛生面の問題からトリミングやドッグランなどの公共施設の利用ができない場合もあります。

避妊手術をすると発情しなくなるので、ヒートもなくなります。

 

 

病気の予防(オス、メス共通)

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去勢手術は精巣を取り除くので、精巣腫瘍をほぼ確実に予防することができます。

また前立腺の病気にもなりにくくなります。

 

避妊手術は卵巣や子宮を取り除くので、

  • 卵巣ガン
  • 子宮内膜炎
  • 子宮蓄膿症

などの生殖器系の病気をほぼ確実に予防できます。

また避妊手術を行うことで、乳腺の悪性腫瘍(乳がん)の発生確率を大幅に下げることができます。

 

避妊手術をしていないと、乳がんの発生確率は手術をした場合の7倍になると言われています。

さらに生後半年未満に手術を受けた場合、手術を受けていない子と比べて乳がんの発生確率が90%以上減少するとの報告もあります。

 

 

避妊・去勢手術のデメリット

太りやすくなる

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避妊・去勢後はほぼ例外なく太りやすくなります。また食欲も増進する場合があります。

これは手術後、代謝が落ちるため、単純に食欲増進により摂取量が増えるため、ホルモンバランスの乱れなどさまざまな説がありますが、はっきりとした原因はわかっていないようです。

 

しかし手術後に太りやすくなるということははっきりとわかっている事実です。

避妊・去勢後用のフードやダイエット用のフードに切り替える必要があります。

 

 

リスクと副作用

避妊・去勢手術は獣医さんにとっては最も多く行っている手術です。

経験豊富な獣医さんであれば手術自体の失敗はあまり心配いらないでしょう。

 

しかし全身麻酔をして行うため、麻酔による副作用のリスクがゼロではありません。

特に高齢の子は全身麻酔をするリスクがとても高いですので、若いうちに手術をしましょう。

 

 

手術後の傷が痛む

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体の一部を取り除くわけですから、当然術後は痛みが伴います。

特に避妊手術は開腹して行うので傷跡が大きい分痛みも強いです。痛み止めを処方される場合が多いですが、痛みにより食欲や元気がなくなる、警戒して隠れるといったこともあります。

 

一時的なものなのでなんとか耐えてもらうしかありません。

また手術糸を気にして噛んだり、引っ張って抜いてしまうこともあります。その場合はエリザベスカラーをつける、術後服を着せるなどが必要になります。

 

 

さまざまな病気の原因になる?

避妊・去勢手術をすると尿路結石糖尿病になりやすくなるとも言われています。

しかしはっきりとした因果関係はわかっておらず、本当に避妊・去勢手術が原因なのかはわかりません。

しかし避妊・去勢した子の方が尿路結石、糖尿病の発症率が高いことは事実のようですので、なんらかの関係はあるのかも知れません。

 

いかがでしたでしょうか?手術は怖い、可哀想というだけで避妊・去勢手術をためらっている方も多いと思いますが、手術をしなかったときのリスク、手術をするメリットも考えてみてください。

その子の年齢、体調にもよるので必ずしも手術をするべきとは言えませんが、若い子であれば特に、手術を行った方がその子の将来のためになる場合が多いのではないでしょうか。

 

それでもやっぱり手術を行うリスクの方が高いと考えるのであれば無理に行わなくてもいいと思います。

しかし手術をしない選択をした場合、望まない繁殖を行うことのないよう十分に注意してください。