当たり前ですが猫も風邪や病気、感染症にかかってしまいます。今回は病気の症状、原因、予防、治療法、について紹介します。
猫も風邪になる?
猫風邪って!とつい突っ込みたくなる名称ですが、これは総称なので実際は「猫ウイルス性鼻気管支炎」「猫カリシウイルス感染症」「クラミジア感染症」などを猫風邪としています。
生後2、3カ月の子猫がかかりやすいといわれています。
主な症状としては、
- くしゃみ
- 鼻水
- 目やに
- 結膜炎
- 発熱
- 口内炎
など人間の風邪症状と同じような症状です。
人間と同じく、ウイルスなどの病原体が引き起こします。
猫同士の接触中のくしゃみなどを回して感染し、複数の猫を接触していたりするとウイルスが複数体に入りこみ、重篤になることもあります。
子猫であったり、弱っているなど抵抗力がないときは症状が重く出て死に至ることもあるので、予防はしておきましょう。
ワクチンの値段は4000~6000円と少し高額ではありますが、長生きの秘訣あり病気にかかりにくくなると考えれば、初期投資になると思いますよ。
でも症状が出てしまったら、動物病院でウイルスを特定し治療を行います。
「猫カリシウイルス感染症」だとインターフェロン注射、「クラミジア感染症」だと抗生物質の投与という感じでウイルスごとに治療的アプローチは変わります。
それぞれ猫によって目やにが増えたり、熱が出たり、鼻水鼻づまり等症状が出ると思いますが、担当の獣医さんが症状にあった薬を処方して下さると思いますので、用法用量を守って投与して下さいね。
猫がかかる病気と症状
猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)
猫エイズを警告するポスターが動物病院に貼ってあったり、パンフレットが置いますが、ご存知でしたか?
こちらも感染症の一つで、猫免疫不全ウイルスというウイルスが原因の病気です。
症状は、
- 発熱
- 下痢
- 口内炎
- リンパ節の腫れ
など猫風邪にもあるような症状です。
感染する経緯は猫免疫不全ウイルスを保有した他の猫と、けんかなどで怪我をしてしまうとその傷からウイルスが入り込むことが原因の多くを占めています。
潜伏期間があり、数年後に発病することもありますのでご注意くださいね。
予防としては猫エイズワクチンの接種が一番ですが、1回4000円程で初年度は2週間間隔で3回接種しなければならず、その後は年に1回ずつの摂取に切り替わります。
猫エイズは人間には感染しませんし、実際ウイルスを保有しても発症しないケースもありますので不安になり過ぎることはありません。
猫エイズに感染し発病すると、始め風邪症状が出て数ヵ月後には症状になり治ったかと感じてしまいますが、この状態を急性期と呼びます。
急性期は子猫であったり、弱っている時期でもなければ死ぬことは無いのですが、早期発見は予後を左右しますので、微熱が続いてるような気がするとか、なんだかおかしいぞと感じたら早めの受診をお薦めします。
そして無症状キャリア期と呼ばれる時期に入ります。
ウイルスが大人しくなり、猫自身も元気を取り戻し4~5年ほどは普通の状態になります。
その猫によっては10年以上保有したまま元気に過ごします。
エイズを発症してしまう、エイズ発症期では口腔内疾患が特徴的で、歯肉炎、歯周組織の炎症、口内炎など口腔内に潰瘍ができ、口臭がきつくなったりよだれが多くなるなどが見えてきます。
他の症状としては、急な体重の減少や嘔吐、下痢のような風邪症状、食欲と反比例する体重減少などが現れます。
しかし未だ不治の病の猫エイズ。
治るというより予後をどう過ごすか、どうやって長生きしてもらうか、という点で猫と付き合うしかないのです。
ですから猫のためにもワクチンで予防できますので、しっかり予防していきましょう。
猫汎白血球減少症
こちらも感染症で子猫が重篤になりやすく、飼いはじめに注意が必要なウイルスになります。
猫伝染性腸炎、猫パルボウイルス感染症、猫ジステンバーと別名を持っていますが、猫汎白血球減少症は、パルボウイルスが原因で腸など炎症が起き、それと同時に白血球が一気に減少していきます。
子猫のように抵抗力がない状態だと衰弱まで時間がかかりません。
感染経路は感染している猫と接触したり、感染した猫の糞尿や嘔吐物に接触したときなどですが、非常に強いウイルスで乾燥状態でも1年生きていたといわれており、なかなか厄介なウイルスです。
症状は、
- 発熱
- 食欲不振
- 激しい嘔吐
- 黄緑色の液体を吐き出す
- 血便
などで、発熱は39度以上の高熱になり、他の症状と合わせ脱水症状で衰弱が進みます。
こちらも予防はワクチン接種になり、猫風邪で紹介した3種ワクチンに入っている場合があります。
動物病院によって3種にどのようなワクチンが入っているのか調べ、主治医を作り先生によく話を聞いて摂取した方が良いでしょう。
もし感染が疑われたら、早期発見早期治療が鍵となります。
ウイルスを死滅させつことはできず、症状を軽くする対処方が治療の根本になり、インターフェロンや抗生物質などが中心の治療になります。
とにかくしぶといウイルスなので、感染に気づいたらハイター除菌しましょう。
多頭飼いの方はくれぐれもウイルスが残らないように部屋を除菌して下さいね。
ワクチンの接種計画
このように猫を守るためにはワクチンが有効な予防法になりますが、こんなに打っていいの?と思いますよね。
私がお薦めするのは主治医を作り、そして主治医とワクチンの接種計画を立て、それに沿ってワクチンを接種していけば猫を守ることに繋がります。
少し大きくなってから受けるもの、重なって受けてはいけないものなど注意することが多いので、そこは専門医に任せた方が良いと思います。
ワクチンは高いですが猫を飼うにあたって健康で長生きするためには必要ですし、猫に健康被害が出てからではもっと高額な治療費が掛かる可能性もあるので、猫を飼っている方や飼おうと思っている方はぜひ検討してみて下さいね。
猫白血病ウイルス感染症
人間同様、猫も癌になり猫白血病ウイルス症は猫白血病ウイルスに感染したことによる血液の癌です。
症状は、
- 食欲減退
- 体重の減少
- 発熱
- 下痢
- 貧血
- 口内炎
などです。貧血の症状は歯茎が白い、元気がないなどサインが隠されており、このサイン気づかずにいると猫白血病ウイルス感染による貧血で亡くなってしまうケースもありますのでご注意ください。
このウイルスは唾液に多く潜んでおり、ウイルスを保有している他の猫と接触したことにより感染することが多く、けんかの際の傷口からや舐め合いの中で感染していき、また母子感染(母猫から胎児)も起こります。
感染した猫の唾液、糞や尿、涙、血液、乳汁にもウイルスを含んでおり、母猫子猫などの近しい関係が一番気をつけなければいけないと思います。
しかし感染力は比較的弱いと言われており、すぐには感染しないと言われていますが子猫に移ると重篤化しやすいの気をつけましょう。
ウイルス感染なのでワクチンで予防可能ですが、自然治癒する猫や無症状の猫のおり、気がつかない可能性も否定できません。
しかし発症すると2~5年程度で亡くなり、子猫は発症率、死亡率も高くなります。
もし感染してしまったら、早期発見、早期治療が鍵になり、感染から2カ月以内に適切な処置をすると自然治癒することもあるようです。
子猫の場合だと体力もあまりないので、簡単にはいかなようですが早期に適切な処置ができれば、望みがあると思います。
治療の根本はウイルスの死滅ではなく、インターフェロンでウイルスを弱め免疫力を回復させていくことになり、もし血液以外で癌化した場合は癌治療を行うことになります。
猫が長生きする為にもワクチン接種は肝になると思いますのでご検討くださいね!
猫伝染性腹膜炎
猫伝染性腹膜炎は猫コロナウイルスが原因の病気で、症状は、
- 発熱
- 食欲減退
- 下痢
- お腹が膨らむ
- 貧血
などですが、発症すると高い率で死亡する厄介な病気で、しかもどの猫もコロナウイルスを持っていて発症するかしないかは猫次第といわれています。
しかも猫伝染性腹膜のワクチンはなく、普段の生活で予防していかねばなりません。
コロナウイルスの恐い所は猫の体でFIPウイルスに突然変異し発症すると考えられ、突然変異の原因は、はっきりと分かりませんがストレスなのでは?と考えられています。
ストレスも猫によって様々ですが、多頭飼いで自分のテリトリーが脅かされるなど、1人気ままが大好きな猫にとって集団生活はストレスなのかもしれませんね。
ストレスを減らす飼い方、ストレスを発散させる方法などを猫1匹ずつ考える必要がありそうです。
生後1年以内の猫の発症率が高く、壮年期になるとぐっと減り、また老年期に発症率が高くなる傾向にあります。
血管炎が起き全身に症状が現れるため、血管炎を抑えるステロイド剤の治療が主となり、ウイルスを抑えるインターフェロンも使われることがあります。
また同時に他の症状も治療していくことになりますので、一度かかると猫も飼い主も大変です。
猫伝染性腹膜の恐い所は、治療して元気になり元の生活に戻ると再発し、死に至るというケースが多いということです。
いかに生活の中でストレスを貯めずに過ごすか、その予防が飼い主の手腕といったところでしょうか。
無責任な多頭飼いはやめ、猫にあった環境を整えて下さいね!
猫伝染性貧血
猫伝染性貧血は猫ヘモプラズマ感染症とも呼ばれ、ウイルス性の感染症で赤血球が破壊され重度の貧血症状を引き起こします。
感染経路は猫同士のケンカなどによりできた傷口やダニやノミなど吸血する外部寄生虫が感染猫を介して他の猫にウイルスを運び感染に至り、症状は、
- 発熱
- 貧血
- 黄疸
- 歯茎が白いなどの貧血のサイン
- 低体温症
などです。ワクチンはなく、予防は日常の生活で気をつけるほかありません。
発病後の治療は抗生物質の投与を軸にして行われますが、早期発見が重要です。
ヘモプラズマウイルスは治療しないと3割の猫が死に至っているというデータがあるそうで、治療が不完全でウイルスが残っていると、ウイルスを保有したまま生活することになります。
そして免疫力が低下した時に動き出し、日和見感染という形でまた猫を苦しめるのです。
元気であればそんなに心配する病気ではないですが、猫の体は小さいですから貧血など何かが欠乏するような状況になると命に関わります。
ですから健康状態のチェックは小まめにするように心掛けると良いと思います。
また日和見感染やノミ、ダニなどの駆除、室内飼いを徹底するなど猫を守る方法は色々ありますが、責任をもって方法を選んでくださいね。
その際は猫の性格や飼う環境なども見極めて下さい!
ワクチンの効かない感染症
ワクチンは非常に大切ですが、ワクチンが効かない病気も沢山あります。
また室内飼いを守っていても、それがストレスとなり病気を発症をしたのでは苦労も水の泡です。
こんなに病気は恐いぞ!と私が脅していますが、案ずるより産むがやすしといいますし、あまり怖がらず飼ってみて欲しいと思います。
どんな動物でも気をつけなければいけない病気や事故がありますし、記載と同じくらいどの動物も気をつける必要があります。
どの病気も重篤になれば命に関わりますが、早期発見と早期の治療で命をつなぎとめることが可能です。
ですから日常的に体調管理を頑張ってくださいね。
きっと猫との絆も深まり、良い家族関係が築けるはずですよ!