みなさんがワンちゃんを家に迎えるとき、どんなことを考慮するでしょうか。
金額?性格?鳴き声?様々な事を考慮されると思いますが、ワンちゃんの『ニオイ』を気にされるかたはどれくらいおられるでしょうか。
シャンプーしていたらニオわないんじゃないの??と思われるかもしれませんが、全くニオイがないワンちゃんはまずいないと思います。人間と同じようにワンちゃんのニオイも様々で、ニオイやすい子もいれば、ニオイにくい子もいます。
今回は飼い始めにはあまり気にされにくい、ワンちゃんのニオイについて書いていきたいと思います。
ニオイやすい犬種、その理由は?
まずワンちゃんの「何がニオっているのか」という所が問題になります。この犬種は臭い!というような事はあまりなく、あくまでワンちゃんの生活習慣や犬種により、ニオイやすい子というのがあります。
ではニオイやすいのはどこなのか、どうしてなのか、そこを突き詰めていくとおのずとニオイやすい子は絞られてきます。
①口臭
例えばパグやブルドッグなどの短頭種や、口の小さい小型犬などはその口内の狭さから歯磨きなどの口内ケアが難しく、どうしてもトラブルは多くなってしまいます。
ワンちゃん達の健康な歯を維持する事は、長生きにもつながる大切な事です。
しかし口の周りを触られるのを嫌がるワンちゃんは多く、その為飼い主側もケアが疎かになったり、キチンと奥まで出来ていなかったりします。
デンタルケアは、出来れば食事の都度していただきたい大切なケアです。
しかしそれが満足に行われないと汚れが溜まり、歯垢が出来ます。歯垢の段階なら重点的にケアをする事で解決しますが、歯石になってしまうと通常の歯ブラシでは落とすことは出来なくなります。
歯垢から歯石に変わるまでは48時間程しかなく、数日に一度のケアではとても間に合いません。このような事が続くとその汚れと、歯石による病気のせいで口臭がキツくなってきます。
これを防ぐ為には子犬のころから歯磨きに慣れさせておく事が必要となります。
また口内だけでなく、口の周りもニオイやすい場所と言えます。唇の部分が垂れている犬や、長毛の犬はヨダレや食べ物が口の周りに付くことにより、ニオうようになります。
ヨダレをこまめに拭いてあげたり、美容院に行った時に相談して口の周りの毛を短めにしてもらう事で、大分改善されます。
②体臭
人間と同じようにワンちゃん自身の体臭というものがあります。人と違うのは人は脇などの限られた場所からニオいますが、ワンちゃんの場合は全身になります。
よく犬臭や獣臭と呼ばれるものです。また男の子の方が女の子よりもニオイやすいと言われています。
元々そのワンちゃんが持っている体臭にくわえ、年を取ると余計にニオイがきつくなるワンちゃんもいます。
シーズーや狆のように鼻の短い犬種や、パグ、ブルドッグのように顔や体に皺の多い犬種は、どうしてもそこに汚れが溜まりやすくなり、ニオイがきつくなります。
そのような事が原因でしたら、シャンプーや皺の間をこまめに拭いてあげる事で対応出来ます。
しかし中々難しいのが、食事内容による体臭です。
食事内容での体臭はすぐに出るわけではない為とても気づきにくいのですが、気づいた時には、あれ?ウチの子、こんなニオイしてたかな?と言う事になります。
人間も肉ばかり食べていると、体臭がキツクなったと言う話を聞きます。
それと同じでワンちゃんの食事にも目を向けてみてあげて下さい。
国産が悪いと言うわけではなく、日本は欧米に比べペットに対してまだまだ発展途上国です。
それに犬は番犬で、外で飼う、残り物をあげる。と言う文化が未だ少し残っています。
その為ドッグフードならどれも同じ・・・やとりあえず国産の方が安全・・・と思われる方も多いのではないでしょうか。
勿論国産のものでいい物も沢山出回っています。しかしその中に安心出来ないものがあるのも忘れないでください。
ワンちゃんも人間と同じで、添加物や保存料の多く入った物は体内の細菌バランスなどを壊してしまいます。
その為体臭が酷くなる、と言う事もありえますので、フードを選ぶときには一度裏返して、成分表を確認してみてください。
出来るだけ無添加で保存料、着色料の入ってない物を選ぶと、大分変ってきますよ!
③耳
ワンちゃんの耳の形は様々で、いくつかの種類がある事をご存知でしょうか。
大きく分けると、
- ジャーマンシェパードのような立ち耳
- シェットランド・シープドッグのような半立ち耳
- ダルメシアンのような垂れ耳
- エアデール・テリアのようなV字型耳
- フレンチ・ブルドッグのようなコウモリ耳
細かく分けるとまだ沢山ありますが、この中でニオイやすい耳となると、垂れ耳がダントツです。
やはり垂れていると通気性が悪く耳垢が溜まりやすくなります。
健康なワンちゃんで少し溜まっている程度なら、美容院に行けば拭いて綺麗にしてくれますし、ニオイもそう酷くありません。
しかし先ほども言いましたように、垂れ耳のワンちゃんは通気性も悪く、熱や湿気が籠りやすいため、耳の病気になりやすくなります。
病気になり、ネバネバした耳垂れが出たり、耳の内側が赤くなっていたりすると、物凄くニオうようになります。
ここまでなると、下手に耳掃除をしようとしたりせずに、早めに病院へ行きましょう。
細菌などに感染していれば、キチンとお薬を飲んで根本から治すことが大切です。
またワンちゃんは自分で言う事は出来ないので、耳をやたらと気にしていないか、床にこすりつけたりしていないかなど、いつもと違う動きをしていたら飼い主さんがいち早く気づいてあげてくださいね。
また、耳が垂れている上に、コッカースパニエルのように耳の毛が長い犬種は、水を飲む時や食事の時に毛先が汚れニオイやすくなります。
耳先がお皿に入らない大きさなどの工夫をしてみたり、美容師さんに相談して耳の毛を短くしてもらったりして、対処してみてくださいね。
④肛門
犬種を問わずワンちゃんの肛門の横に「肛門腺」と言うものがあるのをご存じでしょうか。
肛門の左右にある小さな袋のようなもので、美容院にいけばまず絞り出してくれます。
普段カットなどをしないワンちゃんも、肛門腺を絞るだけでもしてもらえます。
この肛門腺、絞ると物凄く、物凄く臭いです。トリマーの学校で始めて絞った時は上手に絞れた感動よりも、あまりのニオイに本当にビックリしました・・・。
肛門腺はワンちゃん個人により様々な形状をしており、ドロッとしたものや、絞った瞬間ピューっと飛んでいくほど柔らかいものもあります。
これは普段ワンちゃんがウンチをした時に一緒に少しずつ出ていくのですが、お尻の毛が長いワンちゃんや、お尻にウンチのつきやすいワンちゃんは肛門の周りが汚れがちになり、ニオイがするようになります。
対処法としては、まずは肛門腺を定期的に美容院で絞ってもらう事です。肛門腺を絞る事自体はコツさえつかめば誰にでもすることが出来ます。
しかし中には硬い肛門腺が詰まっているワンちゃんもいますので、無理に絞り出そうとすると、とても痛い思いをさせることになりますし、最悪肛門線が破裂・・・と言う事もありえます。
不安があるようでしたら無理をせず、美容院に連れて行ってあげてください。
また肛門腺とウンチの付着を防ぐ為、つきやすいワンちゃんはそのことを美容師さんに伝えると、肛門の周りのバリカンを広めに当ててくれたり、全体のカットに合わせてお尻周りの毛を短めにカットしてもらえます。
お尻の周りの毛は短くしておくことで、汚れを防ぐだけでなく、病気も防ぐことが出来ます。
肛門の周りは汚れやすい所ですし、汚れたまま放っておくと毛が固まり、皮膚に密着します。
すると通気性が悪くなり、また汚れによって細菌が増え、その部分が炎症を起こします。
それが酷くなり膿んだりすると、尚更ニオイが酷くなります。こうなってはワンちゃんもつらい思いをすることになりますので、早めに病院へ連れて行ってあげてくださいね。
⑤肉球
肉球がニオうと聞いて、中には肉球のニオイ好き!という方もおられるかもしれません。
ワンちゃんは体から汗をかけない代わりに肉球から汗をかき体温調節をしています。
ニオイがそんなにキツクない場合はいいのですが、場合によっては上記にありますように食べ物によっても変わってきます。
また気を付けなければいけないのは、肉球の間の皮膚が炎症を起こしニオイがする場合です。
私がトリマーをしていて感じたのは、コッカーのような肉球が大きくムチムチしている子に多い気がします。
犬種に関してはあくまで私がそう感じただけですので、原因は多々ありますし、勿論すべてが当てはまるわけではありません。
ただ肉球の大きな子はどうしても通気性が悪くなります。その足でオシッコやウンチを踏んだり、足が濡れたまま放っておくと蒸れて炎症を起こしやすくなります。
そうすると、足の裏からニオイがするようになります。
炎症が軽いうちは美容院できちんと手入れをしてもらうことで回復が見込めますが、酷くなってきたら、早めに病院を受診しましょう。
何よりも不衛生にせず、環境に気を付けてあげる事が大切です。
臭わない犬種
では逆にどんなワンちゃんがニオイが少ないのか、と言う事についてですが、体自体のニオイで言うと、
- トイ・プードル
- マルチーズ
- パピヨン
- ミニチュア・シュナウザー
がにおいが少ないと一般的には言われています。
このワンコ達に共通するのは、まずシングルコートと呼ばれる季節の変わり目による抜け毛がない事です。その為全体の毛量が少ないので、ニオイにくくなります。
この犬種たちは抜け毛がないというだけで、かなり飼いやすいワンコ達になります。
ただこれらのワンちゃんでも、不衛生な中で生活したり、キチンとケアがされなかったり、あまりおススメ出来ないような食生活をしていると勿論ニオうようになります。
【まとめ】
ニオイやすいワンコの特徴をまとめますと、小型犬や短頭であったり耳が垂れているワンちゃん、また体自体のニオイがしやすいワンちゃんは、オイリーであったり、毛の密度の高いわんちゃんと言う事になります。
これプラス食事やケア生活環境でかなり変化しますので、上記に当てはまるワンちゃんは日々の生活の中で気を付けてみてください。
ワンちゃん達は自分でケアが出来ない分、すべては飼い主さんにかかっています。
健康なワンちゃんのニオイは、どんなものであれ飼い主さんにとって臭いものではないと思います。大好きなワンちゃんの癒しのニオイと共に、幸せなワンちゃんライフを送ってくださいね!